○釧路町公の施設に係る指定管理者の指定に関する事務処理要綱
平成17年4月1日
通達第20号
第1 総説
1 趣旨
この要綱は、釧路町公の施設に係る指定管理者の指定手続等に関する条例(平成17年条例第15号。以下「指定手続条例」という。)第1条に基づき、指定手続条例の施行に関し必要な事項を定めるとともに、指定管理者(地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「自治法」という。)第244条の2第3項に規定する指定管理者をいう。以下同じ。)の指定に関する事務全般について、釧路町(以下「本町」という。)として統一して処理すべき事項等について定めるものとする。
2 指定手続条例、設置条例及び指定議案の関係
自治法第244条の2第3項の規定に基づき、本町において自治法第244条第1項に規定する公の施設(以下「施設」という。)の管理を指定管理者に行わせる場合は、施設を設置することを規定した条例(以下「設置条例」という。)に必要な事項を規定した上、指定手続条例に従い、指定管理者を募集・選定し、指定管理者の指定に係る議案(以下「指定議案」という。)について議会の議決を経て指定管理者を指定する必要がある。
それぞれの条例及び議案の主な内容は、次のとおりである。
(1) 指定手続条例で規定する内容
一般的な指定の手続(募集の方法、申請の方法、選定の基準及び方法、協定の締結など)
(2) 設置条例で規定する内容(指定管理者関係)
ア 指定管理者に施設の管理を行わせることができる旨の規定
イ 管理の基準
ウ 指定管理者が行う管理業務の範囲(施設の維持管理、事業の内容、利用の許可など)
エ 利用料金に関する事項(必要に応じて)
(3) 指定議案の内容
ア 指定管理者に管理を行わせる施設の名称等
イ 指定管理者となるべき団体の名称等
ウ 指定管理者を指定して管理を行わせる期間(以下「指定期間」という。)
第2 設置条例の制定・改正
1 設置条例の制定・改正時期
指定手続条例上、指定管理者の募集をする際には設置条例の規定事項である施設に係る管理の基準及び業務の範囲等を明示することになっているので、募集の期間を勘案し、遅くとも設置条例の改正にあっては、指定議案を提出する予定の議会の一つ前の議会に、設置条例の改正をすること。
2 設置条例に規定する事項
設置条例に規定する事項は、次のとおり。
(1) 指定管理者に施設の管理を行わせる旨の規定
(2) 管理の基準
ア 住民が公の施設を利用するに当たっての基本的条件(開館時間、休館日、利用の制限の要件等)開館時間及び休館日(以下「開館時間等」という。)は、条例に規定すること。ただし、開館時間等の時間数等をあらかじめ固定せずに申請者の提案にゆだねる施設については、最低限の条件を条例に規定し、実際の開館時間等は選定後に規則で定めることができる。
イ その他適正な管理の観点から不可欠である業務運営の基本的事項
指定管理者が利用の許可等を行う場合の手続並びに指定管理者の情報公開及び個人情報の取扱いに関する事項については、それぞれ釧路町行政手続条例(平成8年条例第18号)、釧路町情報公開条例(平成17年条例第4号)及び釧路町個人情報保護条例(平成17年条例第5号。以下「個人情報保護条例」という。)に定めがあるので、それ以外の事項で、施設の性質・目的から特に規定する必要あるものについては、適宜規定すること。
(3) 管理者が行う管理業務の範囲
指定管理者に施設の管理を行わせる場合は、条例において管理業務の範囲(施設の維持管理、事業の内容、利用の許可等)を規定すること。このうち「事業の内容」については、施設で行う事業のうち、指定管理者に行わせることが適当と判断したものを規定すること。
(4) 利用料金に関する事項
利用料金を指定管理者の収入として収受させる場合は、利用料に関する事項を規定すること。
(5) 指定手続きの特例
3 既存の施設の管理委託に係る経過措置
地方自治法の一部を改正する法律(平成15年法律第81号)附則第2条の規定により、同法の施行の際(平成15年9月2日)現に管理を委託している施設については、平成18年9月1日まで改正前の自治法第244条の2第3項の規定に基づく施設の管理の委託を続けることができるとされているが、本町では、法改正の主旨を鑑み、原則、平成18年4月1日より管理委託契約から指定管理者制度に移行することを想定する。
4 設置条例施行規則
指定管理者に施設の管理を行わせる場合は、設置条例の施行規則についても、指定管理者に関する規定を設ける必要がある。
第3 指定管理者の募集(条例第2条関係)
1 指定管理者の募集の方法
(1) 指定手続条例第2条の規定に基づいて行う指定管理者の募集(公募)は、釧路町公告式条例(昭和30年釧路町条例第2号。以下「公告式条例」という。)の定めるところにより、掲示場に掲示するとともに、少なくとも次の方法のいずれかにより行う。
ア インターネットホームページへの掲載
イ 本庁舎窓口または施設での資料の配布
ウ 広報釧路町への掲載
(2) 指定管理者の募集は、次の事項(以下「募集要綱」という。)をすべて明示して行うことが原則であるが、募集要綱が大量となる等の理由によりすべてを明示することが難しいときは、指定管理者を募集すること、申し込みを受け付ける期間(以下「申込期間」という。)及び募集要綱の配布場所のみを明示して募集することができる。
ア 施設の概要
イ 申込資格
ウ 申込受付期間(以下「申込期間」という。)
エ 選定の基準
オ 管理の基準
カ 利用料金に関する事項
キ 指定管理者を指定して管理を行わせる(以下「指定期間」という。)
ク その他町長が別に定める事項
(3) 募集要綱は、募集を開始する前に、指定管理者選定委員会(第5の1参照)の審査承認を得て、公布する。
2 施設の概要(第1号)
施設の名称、施設の所在地、施設の設置目的、建物の構造などの施設の概要を明示すること。原則として、指定管理者の募集は一施設ごとに行う。
ただし、一施設ごとに募集を行うことによりかえって施設の効用が妨げられ、住民サービスの低下につながるなどの特別な事情があるときは、複数の施設について一の指定管理者を募集することができる。
3 申込資格(第2号)
(1) 申込資格を定める場合は、不当に申込者を限定することにならないよう施設の性質・目的に応じた必要最小限のものとすること。
(2) 具体的な申込資格としては、次のものが考えられる。なお、ア及びイ(ア)から(ク)までについては、必ず定めなければならない。
ア 団体であること(法律上、個人は指定管理者になることはできないが、法人格の有無は問わない。)。
イ 団体又は代表者が次の者に該当しないこと。
(ア) 法律行為を行う能力を有しない者
(イ) 破産者で復権を得ない者
(地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第167条の4第2項(同条を準用する場合を含む。)の規定により本町における一般競争入札等の参加を制限されている者
(ウ) 自治法第244条の2第11項の規定による指定の取消しを受けたことがある者
(エ) 指定管理者の指定を管理の委託とみなした場合に、自治法第92条の2、第142条(同条を準用する場合を含む。)又は第180条の5第6項の規定に抵触することとなる者
(オ) 本町における指定管理者の手続きにおいて、その公正な手続を妨げた者又は公正な価格の成立を害し、若しくは不正の利益を得るために連合した者
(カ) 釧路町税を滞納している者
(キ) 銀行取引停止を受けている者
ウ 団体の人員の数、資産の額その他の経営の規模及び能力
エ 事務所の所在地に関する事項
オ 施設を管理するにあたって資格、免許等が必要な場合は、その資格等を有していること。
カ その他施設の性質・目的に応じ使節の管理を行うに当たって不可欠の事項
4 申込期間(第3号)
申込期間は、原則として、募集を開始したとき日から起算して30日間とする。
ただし、30日間を確保することが日程的に困難な場合又は申込みの際提出する書類の作成上必要があると認められる場合は、これよりも短期又は長期の期間を設けることができる。
5 選定の基準(第4号)
第5の3参照。選定基準は、指定手続条例第4条第1項第1号から第5号までに定めるものを含め、すべて明示すること。
6 管理の基準(第5号)
管理の基準は、設置条例に規定したもの(開館時間等、利用の制限に関する事項等。
7 利用料金に関する事項(第6号)
おおむね次の事項について明示するものとする。
(1) 利用料金制度の採用の有無
(2) 利用料金の額に関する事項
(3) 指定管理者が本町の承認を受けて利用料金を定めるときの本町との事前協議の方法に関する事項(承認利用料金制を導入の場合)
8 指定期間(第7号)
指定期間は、原則として、管理業務を開始する日から起算して3年間とする。ただし、施設の性質・目的等からこれにより難い施設については、この限りではない。「施設の性質・目的等からこれにより難い施設」の例としては、次のようなものが考えられる。
(1) PFI事業により建設する施設
(2) 早くから利用の許可を行う必要のある施設(誘致活動の成果が後年度に現れる場合がある施設)
(3) 利用者と施設の管理者とが長期継続的な関係を有する必要がある施設
9 その他町長が別に定める事項(第8号)
指定手続条例第2条第1項第8号のその他町長が別に定める事項は、次のとおりとする。
(1) 設置条例及び設置条例の施行規則の規定
(2) 申込の撤回・申込書類の修正は認めないこととする旨
申込の撤回・申込書類の修正は、軽微な修正を除き原則として認めないこととする。ただし、申込書類を受理した後に、撤回・修正の連絡があった場合は、事実上そのことを考慮に入れて選定を行うことができる。
(3) 選定結果の通知予定時期・通知方法
(4) 申込書類の提出先・所管課の名称
(5) その他施設の所管課において必要と認める事項
第4 指定の申込み(条例第3条関係)
1 申込みの受付
申込受付期間内に申込みを受けるときは、次の書類が提出されていることを確認すること。なお、申込書の様式例は、別記第1号様式を参照のこと。
(1) 申込資格を有していることを証する書類
(2) 管理業務の計画書
(3) 管理に係る収支計画書
(4) 当該団体の経営状況を説明する書類
(5) その他町長が別に定める書類
2 申込資格を有していることを証する書類(第1号)
第3の3により定めた申込資格を有していることを確認することができる書類が必要である。この書類の提出がなければ、実質的な選定を行う前に不選定となってしまうので、場合によっては追加提出を求めるなどの配慮も必要と思われる。
(1) 団体であることを証する書類の例
ア 法人の場合 登記簿の謄本など
イ 自治法第260条の2第1項に規定する地縁による団体の場合
自治法第260条の2第12項の証明書など
ウ その他の非法人の場合 団体の規約・構成員名簿など
(2) 団体又はその代表者が第3の3(2)イの事由に該当しないことを証する書類の例
ア 法律行為を行う能力の確認(非法人の場合)については、代表者の身分証明書など
イ その他の事由の確認については、代表者からの申立書、町税の納税証明書など
(3) その他の書類の例
施設を管理するに当たって資格、免許等が必要な場合の当該資格等を有していることを証する書類など
具体的な書類の例としては、次のようなものが考えられる。
(1) 施設の管理に係る基本方針
(2) 指定期間内の年度ごとの業務計画書
(3) 業務の具体的実施要領
(4) 人員体制について記載した書類
(5) 指定期間内の年度ごと及び合計の収支計画書
4 当該団体の経営状態を説明する書類(第4号)
当該団体の経営状態を説明する書類は、指定手続条例第4条第1項第4条第4号の選定基準等について判断する際の資料として使用し、その内容はおおむね次のとおりとする。
(1) 前事業年度の収支(損益)計算書又はこれらに相当する書類(既に財産的取引活動をしている団体のみ)
(2) 前事業年度の貸借対照表及び財産目録又はこれらに相当する書類(作成している団体のみ)
(3) 現事業年度の収支予算書及び事業計画書(既に財産的取引活動をしている団体及び新たに指定管理者にならうとする施設の業務以外の事業を開始する団体のみ。)なお、上記(1)及び(3)の書類がない場合はこれらを製作するよう依頼し、作成することができない特別の事情等がある場合は、団体の経営状況を説明する書類がない旨及びその理由を記載した申立書を提出してもらうこと。
(4) 団体の事業報告書を作成している場合は、当該報告書
(5) 団体の役員名簿及び組織に関する事項について記載した書類又はこれらに相当する書類
5 その他町長等が別に定める書類(第5号)
指定手続条例第3条第5号のその他町長等が別に定める書類は、次のとおりとする。
(1) 団体の活動内容等を記載した書類
団体の定款又は寄附行為、事業報告書、役員名簿及び組織に関する事項について記載した書類など。なお、これらの書類は、申込資格を有していることを証する書類として使用することも可能である。
(2) その他施設の所管課において必要と認める書類
(1)以外で選定に必要な書類があれば、募集の際に明示した上で、提出を求めることができる。
第5 選定(条例第4条、第5条関係)
1 選定の基準(条例第4条関係)
(1) 利用者の平等な利用の確保及びサービスの向上が図られるものであること(第1号)。
自治法第244条第3項の規定から導きだされる基準である。なお、『「不当な差別的取扱い」に該当するかどうかは、個々具体的に判断するほかないが、一般的には、公の施設の利用に当たり、信条、性別、社会的身分、年齢等により合理的な理由なく、利用を制限し或いは使用料を減免する等は、不当な差別的取扱いに該当する。』(松本英昭著「新版逐条地方自治法第一次改訂版」学陽書房)選定にあたっては、管理業務の計画書、団体の活動内容等を記載した書類等に基づき上記事項及び設置条例の趣旨並びに施設の設置目的をよく理解し、すべての利用者に対して公正中立な対応ができる団体であるかについて判断すること。
(2) 施設の効用を最大限に発揮するものであること(第2号)。
具体的には、管理業務の計画書の内容が、施設の設置目的の達成により有効なものであるか、施設の性質、事業の内容に合致したものであるか等について判断すること。
(3) 施設の適切な維持及び管理に係る経費の縮減が図られるものであること(第3号)。
選定に当たっては、指定管理者に対して本町が支払うべき管理費用の基準となる額(以下「基準管理費用」という。)をあらかじめ定めておき、原則として基準管理費用を超える額の支出が必要となる団体は不選定とする。ただし、その団体が提案するサービスの内容が本町が想定していた以上のものである場合には、本町の支出額が基準管理費用を超えることとなっても、その団体を指定管理者となるべきものとして選定することができるが、選考理由を明確にする必要がある。
(4) 施設の適切な管理を安定して行う人員、資産その他の経営の規模及び能力を有しており、又は確保できる見込みがあること(第4号)
理想的な内容の提案をした団体であっても、指定期間中に安定した施設の管理を行うことのできる物的・人的な規模・能力を有しないと認められる団体を指定管理者に指定することはできないが、申請時に十分な規模等を有していない団体であっても、本町から管理費用等を収受できるなどその後十分な規模等を得ることが確実と認められる団体は、この選定基準を満たしているものとする。
なお、当該規模等の認定に当たっては、団体の経営状況を説明する書類、団体の活動内容等を記載した書類等に基づき、申請者の経営状況、申請者が過去に行った事業又は現在行っている事業の内容、代表者又は他の構成員の経歴・資格、代行させる管理業務の具体的内容又は難易度などから客観的に判断すること。
(5) その他町長又は教育委員会(以下「町長等」という。)が施設の性質に応じて別に定める基準(第5号)
2 指定管理者選定委員会(条例第5条関係)
(1) 指定管理者選定委員会の設置
次の事務を行うための臨時的内部委員会として指定管理者に管理を行わせようとする施設ごとに指定管理者選定委員会(以下「選定委員会」という。)を設置する。なお、複数の施設の指定管理者の選定を行う合同の選定委員会を設置することもできる。
ア 募集要綱について、募集の開始前に審査承認をする。
イ 指定管理者として指定すべき団体について、選定方式を決定し、選定を行うこと。
(2) 設置時期
指定管理者の募集の開始前とする。
3 選定方式
選定委員会は、指定手続条例第3条各号の書類に基づき、申込資格を有する申込者の中から、選定基準に照らし、施設の管理を行うに最も適当と認められる団体を指定管理者となるべき相手方として選定するが、その具体的方式は、施設の性質・目的や申込者数に応じて各選定委員会において決定する。その例としては次のものが考えられるが、いずれの方法を採るにしても、選定結果については議会や町民に対する説明責任を有していることに留意し、公正且つ適切な選定を行うこと。
なお、3(4)を参照のこと。
(1) 評価点数方式
あらかじめ選定基準による評価項目について点数化し、委員の合計点が最も高くなる団体を相手方とするもの
(2) 採決方式
各委員が適当と思う団体について意見を表明し、選定委員会全体で議論した後、全委員による多数決によって相手方を決定するもの
4 申請者に対するヒアリングの実施
選定委員会は、必要に応じ、申請者に対し提出書類の内容等について任意のヒアリングを実施することができる。
5 選定の記録
選定委員会における選定結果及び選定理由は、文書記録する。なお、当該文書又はその概要を記録した文書を指定議案の提出に係る起案に添付すること。
6 適当な相手方がいない場合の措置
選定委員会における選定の結果、施設の管理を行うに適当と認める団体がないと判断された場合は、その旨を選定結果として申請者に通知した上、公募からやり直すか、直接本町が運営する(直営)かを選択することとなる。公募の結果、応募がなかった場合も同様である。
7 再度の選定
(1) 再度の選定とは
選定の結果を通知した後に、選定した団体(以下「被選定者」という。)を指定管理者に指定することが不可能となり、又は著しく不適当と認められる事情が生じた場合に、公募からやり直すこととすると、新たな被選定者(以下「新被選定者」という。)を選定するまでに一定の期間を要することとなり、また、前回とは別の申請者が現れる可能性も低いと思われることから、既に申請を行った他の団体の中に指定管理者として適当な団体があればその団体を新被選定者とすることができることとしたものである。
(2) 再度の選定ができる場合
「指定管理者に指定することが不可能となり、又は著しく不適当と認められる事情が生じたとき」の例としては次のようなものが考えられる。
ア 議会により指定議案が否決されたとき。
イ 被選定者が倒産し、又は解散したとき。
ウ 被選定者が提出した書類の内容に虚偽があることが判明したとき。
(3) 旧被選定者への通知
再度の選定を行うときは、指定を行わない被選定者(以下「旧被選定者」という。)に対しその旨を通知するものとする。
(4) 再度の選定
再度選定委員会を開き、旧被選定者を除いた他の申込者の中から、新被選定者を選定することができる。
(5) 再度の選定の結果の通知
新被選定者を選定したときは、速やかにその旨を新被選定者に通知すること(このときは、他の申込者に対する通知は不要)。
(6) 選定結果を通知する前の場合
選定結果を通知する前に、旧被選定者を指定管理者に指定できない事由が発生したときは、外部との関係では選定が終了してないものとして、当然に再度選定委員会を開き、新被選定者を選定することができる。
第6 選定結果の通知(規則第12条関係)
1 選定結果の通知(規則第12条関係)
(1) 選定結果の通知
選定を行ったときは、速やかにその結果をすべての申請者に通知すること。
(2) 通知の法的性質
この通知は、行政サービスとしての事実上の行為であり、行政処分としての性質を有するものではない。
(3) 通知に記載すべき事項
通知の内容は、選定結果のほか、できる限り選定(不選定)の理由記載することが望ましい。
第7 指定議案及び予算の議決
1 指定議案の提出時期
指定議案は、指定管理者が施設の管理業務を開始する前に、議決を受ける必要がある(自治法第244条の2第6項)。したがって、新たに設置する施設の設置条例において、施設の供用開始日前に管理業務を開始することができる旨の規定(いわゆる準備行為の規定)を設けた場合で、準備行為を指定管理者に行わせるときは、準備行為を指定管理者が開始する前に指定議案の議決を受ける必要がある。
2 指定議案の内容
指定議案の内容は、おおむね次のとおり。
(1) 指定管理者に管理を行わせる施設の名称及び所在地
(2) 指定管理者となるべき団体の名称、主たる事務所の所在地及び代表者の氏名
(3) 指定期間(第3の8参照)
3 予算の議決
指定期間を2年以上にした場合であっても、予算の計上は、単年度ごととする。また、予算提出の時期は、原則として、被選定者を特定し、業務内容を確定した後の指定議案を提出する議会とする。
第8 指定の通知・告示・協定の締結(条例第7条及び第8条関係)
1 指定の通知・告示
指定議案の議決があったときは、指定管理者を指定し、その旨を指定管理者に通知するとともに、公告式条例の定めるところにより告示すること。
ただし、議決後に、相手方が倒産した場合、提出書類の内容に虚偽があることが判明した場合などは指定しないことができる。
(1) 指定の通知
(2) 指定の告示
また、施設利用者への周知のため、各施設において告示事項の掲示を行うこととする(このほか所管課の判断によりインターネット等による周知を行うことは当然可能である。)。
2 協定の締結
指定管理者の指定と同時に、管理に係る細目的事項、本町が払うべき管理費用の額等を定めるため、指定管理業者と協定を締結すること。
施設の管理に係る細目的事項について協定で定めることとした趣旨は、このような事項については、町長等が指定の通知の中で一方的に定めるのではなく、町長等と指定管理者となるべき団体とがお互いに綿密な意思疎通を図った上で作成する協定という形で定めることが適当と思われることによる。
協定で定める事項は、次のとおりとする。
(1) 指定期間に関する事項(第1号)
(2) 管理業務の計画書に記載された事項(第2号)
提案内容どおりの履行をさせるため、被選定者が提出した管理業務の計画書に記載された事項(業務の具体的内容など)について定める。
(3) 利用料金に関する事項(第3号)
次の事項について定める。
ア 利用料金制度の採用の有無
イ 利用料金の額に関する事項
ウ 指定管理者が本町の承認を受けて利用料金を定めるときの本町との事前協議の方法等に関する事項(承認料金制採用の場合)
エ その他施設の所管課において必要と認める事項
(4) 事業報告に関する事項(第4号) 第9の1参照
(5) 本町が支払うべき管理費用に関する事項(第5号)
ア 管理費用の額
イ 管理費用の支払い時期・支払方法及び精算の方法
ウ 管理費用の額等の変更方法
エ その他施設の所管課において必要と認める事項
(6) 指定の取消し及び管理業務の停止に関する事項(第6号) 第9の4参照
(7) 管理業務を行うに当たって保有する個人情報の保護に関する事項(第7号)
釧路町個人情報保護条例第46条の2の規定に基づき準用する。
(8) その他町長等が別に定める事項
指定手続条例第9条第2項第8号のその他町長等が別に定める事項は、次のとおりとする。
ア 管理業務の第三者への委託に関する事項
管理業務を一括して第三者に委託することはできないが、管理業務の主要部分でない施設の維持補修、警備、清掃等の業務を個々に委託することはできる。
イ 施設内での事故発生時の対応、本町への報告等に関する事項
ウ 指定管理者が本町に損害を与えた場合の賠償に関する事項
エ 指定管理者が施設・備付物件を使用する場合の取扱いに関する事項
オ 管理業務を行うに当たって作成する帳簿等の保管・整備に関する事項
カ 協定の改定に関する事項 (4参照)
キ 釧路町行政手続条例の適用に関する事項
指定管理者は釧路町行政手続条例第2条第4号の「行政庁」に含まれることから、指定管理者が使用の承認・取消しを行う場合には、同条例が指定管理者に直接適用される。したがって、利用の許可に係る審査基準等については、指定管理者が釧路町行政手続条例及び設置条例の規定に従って定めることとなるが、所管課において設置条例に定める基準等を補足し、又は統一した標準処理期間等を定める必要があると判断した場合にはこれらの事項についてあらかじめ協定で定めておくこと(内容によっては募集要綱の中で明示することが必要な事項もあり得ると思われる。)。
ク 情報公開に関する事項
指定管理者に対して情報公開の努力義務を課すとともに、本町から管理業務に関する文書等の提出の要求があった場合に、これに応じなければならない旨定めること。
ケ その他施設の所管課において必要と認める事項
リスク分担(災害等の予期せぬ事態が発生した場合の費用負担のルール)に関する事項、管理業務上知り得た個人情報以外の秘密の保持、指定管理者が管理業務を行うに当たって購入する物品の所有権の帰属等に関する事項、自治法第238条の4第4項の規定に基づく目的外使用許可の関する事項(目的外使用許可については指定管理者が行うことはできないことから、必要に応じて本町への取次ぎに関する事項を定めるなど。)。
3 指定の通知、指定の告示及び協定の締結の関係
指定管理者の指定は、行政処分であり、また、指定の告示は、単なる事実の周知行為であるため、指定の通知と告示は同日に行う必要はないが、できるだけ速やかに行うこと。協定については、予算執行の観点から、指定期間の初日の日付とする。
4 協定の改定
協定で定めた事項については、指定期間中はみだりに改定しないこと。
ただし、特別な事情があるときは、指定管理者と協議して協定の改定をすることができる旨協定で定めること。
「特別な事情があるとき」の例としては、つぎのようなものが考えられる。
(1) 利用料金の額に関する設置条例の規定を改正するとき。
(2) 閉館時間等に関する設置条例の規定を改正するとき。
(3) 施設の一部を新設し、又は廃止するとき。
(4) 物価等の大幅な変動があったとき。
(5) 災害が発生したとき。
なお、指定の告示の内容を改定したときは、変更の告示を行うこととする。
第9 事業報告・業務の調査等(条例第15条関係)
1 事業報告
指定管理者は、毎年度終了後、管理業務に係る事業報告書を作成し、地方公共団体に提出しなければならないこととされている。(自治法第244条2第7項)
(1) 事業報告書の提出時期は、毎年度5月末日とする。
(2) 事業報告書の内容
ウの書類は厳密には管理業務に係るものではないが、団体の経営状況は施設の管理業務にも影響を及ぼすものであることから、協定で定めることにより、これも併せて提出させることとする。
ア 当該年度の管理業務の実施状況報告書(各種事業の実施状況、利用の許可等の状況、利用料金の収入状況など)
イ 当該年度の管理に係る収支決算書
ウ 当該年度の団体の経営状況を説明する書類(収支(損益)計算書、貸借対照表、財産目録等。第4の4参照)
(3) 事業報告書の提出先
施設の所管課とする。
(4) 事業報告書の受理後の取扱い
内容を精査した上、施設の所管課長まで供覧し、必要に応じて業務内容に関する指導、調査・指示(3参照)等を行うこと。
2 町民ニーズの把握等
施設の所管課においては、施設の設置者としての責任を果たす立場から、指定管理者と協議の上、施設管理に係る町民ニーズの把握に努めることとし、必要に応じて指定管理者に対し町民サービスの向上のために必要な指導を行うこと。
3 業務に係る調査・指示
町長等は、施設管理の適正を期するため、指定管理者に対して、管理業務について、業務内容又は経理の状況に関する報告を求め、実地に調査し、又は必要な指示をすることができるとされている(自治法第244条の2第10項)施設の所管課においては、1の事業報告書の内容、実際の業務の状況等から指定管理者の業務内容に問題があると認めたときは、速やかに報告の要求又は調査を行い、必要な場合は業務内容の改善について指示を行うこと。
4 指定の取消し・管理業務の停止
地方公共団体は、指定管理者が町長等の指示に従わないときその他当該指定管理者による管理を継続することが適当でないと認めるときは、その指定を取消し、又は期間を定めて管理業務の全部又は一部の停止を命ずることができることとされている(自治法第244条の2第11項)。
取消し等の事由としては次のようなものが考えられる。
(1) 自治法第244条の2第10項の規定による報告の要求又は調査に対してこれに応じず、又は虚偽の報告をし、若しくは調査を妨げたとき。
(2) 自治法第244条の2第10項の規定による指示に従わないとき。
(3) 設置条例、設置条例の施行規則又は協定に定める規定に違反したとき。
(4) 指定手続条例第2条第1項の規定により明示する申込資格を失ったとき。
(5) 申込みの際に提出した書類の内容に虚偽のあることが判明したとき。
(6) 団体の経営状況の悪化等により管理業務を行うことが不可能又は著しく困難になったとき。
(7) 組織的な非違行為が行われていた場合など、当該指定管理業者に管理業務を行わせておくことが、社会通念上著しく不適当と判断されるとき。
(8) 管理業務が行われないとき。
これらの事由に該当した場合は、当該事由の重大性、当該事由が発生した原因(正当事由の有無)、処分を行った場合のその施設の運営と町民に対する影響の大きさ、他の指定管理者に対する処置との公平性等の観点から、
ア 取消し処分を行うかどうか。
イ 処分を行う場合、どの程度の処分(指定取消し、業務全部停止、業務一部停止)にするか。
ウ いつの時点で処分を行うか。
エ 処分を行った後の施設の管理方法などを検討し、公平・適正な処分を行うこと。
第10 指定期間の満了
指定期間が満了したときは、当然に指定の効力は失われる。引き続き指定管理者に施設の管理を行わせる場合は、再度、公募から指定の手続を実施することとなる。
この場合、指定期間が満了する前に、指定期間満了後の指定管理者に係る指定議案の議決を受けておく必要がある。
附 則(平成19年3月27日通達第12号)
この通達は、平成19年4月1日から施行する。
附 則(平成20年4月1日通達第27号)
この通達は、公布の日から施行する。
附 則(平成24年7月30日通達第43号)
この通達は、平成24年8月1日から施行する。