○釧路町手話言語条例

平成30年12月10日

条例第32号

手話は、ろう者が思考し意思疎通を図る際に使う言語で、独自の語彙や文法を持ち、手指、体などの動きや表情を使って視覚的に表現するものである。

わが国の手話は、明治時代のろう教育において育まれ発展してきた。

しかし、ろう学校において一時期、読唇と発声訓練を中心とする口話法の習得に特化され、手話の使用が実質的に禁止されるといった厳しい教育環境にあったが、手話が廃れることなく、ろう者の言語としてろう者からろう者へと大切に受け継がれてきた。

国際的には、平成18年に国連総会において、「手話は言語である」ことを明記し、言語の選択と使用を保障する「障害者の権利に関する条約」が採択された。

国内では、平成23年に改正された障害者基本法において「全て障がい者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保される」と定められるとともに、国及び地方公共団体は、障がい者の意思疎通の支援や、円滑な情報の取得及び利用のための施策を講ずることが、義務付けられたところである。

このことから、手話は言語であり、ろう者の日常生活を営むうえで大切なコミュニケーション手段であることを認識するとともに手話の理解を深め、手話を使いやすい環境整備と普及により、住み慣れた地域で安心して暮らすことができる社会の実現を目指し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に関する基本理念を定め、釧路町(以下「町」という。)の責務並びに町民、地域及び事業者の役割を明らかにするとともに、総合的かつ計画的に施策を推進し、手話の使いやすい環境整備を進め、手話が言語として認識され普及することにより町民の尊厳が守られ、住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくりを実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) ろう者 聴覚障がい者のうち、手話を言語として日常生活又は社会生活を営む者をいう。

(2) 町民 釧路町内(以下「町内」という。)に居住する者及び町内に通勤、通学又は滞在する者をいう。

(3) 地域 町内で活動する町内会及び住民団体等をいう。

(4) 事業者 町内に事務所又は事業所を有し、事業を行う法人その他の団体又は個人をいう。

(基本理念)

第3条 手話に対する理解の促進及び手話の普及は、ろう者の社会参加の権利と手話による意思疎通を図る権利を有していることを基本として、町民が互いに人格及び個性を尊重し合いながら推進しなければならない。

(町の責務)

第4条 町は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、手話に対する理解を広げ、町民が手話を使いやすい環境にするために必要な施策を推進するよう努めるものとする。

(町民及び地域の役割)

第5条 町民及び地域は、基本理念にのっとり、手話に対する理解を深め、手話に関する施策の推進に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、手話に関する施策の推進に協力するよう努めるとともに、ろう者が使いやすいサービスの提供及び働きやすい環境の整備に努めるものとする。

(施策の推進)

第7条 町、町民、地域及び事業者は、次に掲げる施策を推進するものとする。

(1) 手話に対する理解促進及び普及啓発に関する施策

(2) 手話による情報取得、意思疎通及び手話を使いやすい環境づくりに関する施策

(3) 手話通訳者の確保、養成及び手話による意思疎通支援拡充に関する施策

(4) 前各号に掲げるもののほか、この条例の目的を達成するために必要な施策

2 前項の施策を推進するときは、ろう者、その他関係者の意見を尊重し、適切に反映できるよう努めなければならない。

(委任)

第8条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は町長が別に定める。

附 則

この条例は、平成31年4月1日から施行する。

釧路町手話言語条例

平成30年12月10日 条例第32号

(平成31年4月1日施行)

体系情報
第7編 生/第1章 社会福祉
沿革情報
平成30年12月10日 条例第32号