○ストレスチェック制度に関する実施規程
平成28年10月17日
訓令第86号
(目的)
第1条 この訓令は、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)の規定に基づくストレスチェック及び面接指導の結果により釧路町役場(以下「町」という)が講ずべき就業上の措置が適切かつ有効に実施されるため、ストレスチェック及び面接指導の実施方法、面接指導の結果についての医師からの意見の聴取、就業上の措置の決定、健康情報の適正な取扱い、職員に対する不利益な取扱いの禁止等について定めることを目的とする。
(制度の目的)
第2条 ストレスチェック制度は、1年に1回、職員のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個々の職員のストレスを低減させるとともに、検査結果を部署ごとに集計・分析し、職場におけるストレス要因を評価し、職場環境の改善につなげることで、ストレスの要因そのものを低減するよう努めるとともにストレスチェックの実施によりストレスの高い者を早期に発見し、医師による面接指導につなげることで、職員のメンタルヘルス不調を未然に防止することを目的とする。
(実施体制)
第3条 ストレスチェック制度の実施体制は次に掲げる体制とする。
(1) 実施者は、町の産業医とする。
(2) 実施事務従事者は総務課人事管理担当係とし、実施者の指示により、ストレスチェック実施の事務に携わるものとする。
(ストレスチェックの定義)
第4条 法第66条の10第1項の規定によるストレスチェックとは、1年に1回、調査票を用いて、労働安全衛生規則(昭和47年省令第32号。以下「規則」という。)第52条の9第1項第1号から第3号までの規定に基づき、次の各号に掲げる項目により検査を行い、職員のストレスの程度を点数化して評価するとともに、その評価結果を踏まえて高ストレス者を選定し、医師による面接指導の要否を確認するものをいう。
(1) 当該職員の心理的な負担の原因に関する項目
(2) 心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
(3) 他の職員による当該職員への支援に関する項目
(ストレスチェック制度の情報開示)
第5条 ストレスチェック制度の情報開示の範囲は別表第1のとおりとする。
2 職員は、他の職員のストレスチェック制度に関する情報を知り得たときは、当該職員の許可なく他人に情報を漏らしてはならない。
(ストレスチェックの調査票)
第6条 ストレスチェックに用いる調査票は、実施者の意見及び釧路町衛生委員会(以下「衛生委員会」という。)の調査審議を踏まえてその都度決定しなければならない。ただし、調査票には、規則第52条の9第1項第1号から第3号までに規定する3つの領域に関する項目が含まれていなければならない。
(ストレスの程度の評価方法)
第7条 ストレスチェックに基づくストレスの程度の評価は、点数化した評価結果を数値で示す方法により行う。また、実施者はストレスの状況をレーダーチャート等の図表で分かりやすく示すように努める。
(高ストレス者の選定方法と基準)
第8条 次の各号のいずれかの要件を満たす者を高ストレス者として選定するものとする。この場合において、具体的な選定基準は、実施者の意見及び衛生委員会等での調査審議を踏まえて、町が決定するものとする。
(1) 調査票のうち、「心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目」の評価点数の合計が高い者
(2) 調査票のうち、「心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目」の評価点数の合計が一定以上の者であって、かつ、「職場における当該職員の心理的な負担の原因に関する項目」及び「職場における他の職員による当該職員への支援に関する項目」の評価点数の合計が著しく高い者
(実施者の役割)
第9条 実施者は、ストレスチェックの実施にあたって、ストレスチェックの調査票の選定、調査票に基づくストレスの程度の評価方法及び高ストレス者の選定基準の決定について町に対して専門的な見地から意見を述べるとともに、ストレスチェックの結果に基づき、当該職員が実施者による面接指導を受ける必要があるか否かを確認しなければならない。
2 調査票の回収、集計、入力又は受検職員との連絡調整等の実施事務については、実施事務従事者に行わせることができる。
(受検の勧奨)
第10条 職員にストレスチェックを受ける義務はないが、メンタルヘルス不調で治療中のため受検の負担が大きいなどの特別な理由がない限り、受検対象の全職員がストレスチェックを受けることが望ましい。
2 実施事務従事者は、実施者からストレスチェックを受けた職員のリストを入手する等の方法により職員の受検の有無を把握し、ストレスチェックを受けていない職員に対してストレスチェックの受検を勧奨することができる。この場合において、実施者がストレスチェックを受けた職員のリストなど職員の受検有無の情報を町に提供するにあたって、職員の同意を得る必要はない。
(ストレスチェック結果の通知)
第11条 町は、ストレスチェック結果(以下「実施結果」という。)が実施者から遅滞なく職員に通知されるようにしなければならない。
2 結果通知後、町が受検職員に対し同意書(別記様式第2号)の提出を求めることができる。ただし、同意書の提出については、本人の意思により行わなければならない。
3 町は、実施者に実施結果を職員に通知させるにあたり、封書または電子メール等で当該職員に直接通知させるなど、実施結果を当該職員以外の者が把握できない方法で通知させなければならないものとする。
(面接指導の申出)
第12条 ストレスチェック制度に関する面接指導を希望するときは、実施結果、面接指導申出書(別記様式第3号。以下「申出書」という。)及び同意書を町へ提出しなければならない。
2 申出書の記載は、本人の意思により行わなければならない。
(面接指導対象者の要件)
第13条 町は、職員から申出書の提出があったときには、実施者による面接指導を実施するものとする。ただし、面接実施人数は予算の範囲内において行うものとする。
2 町は、職員から申出書の提出があったときには、面接指導の対象となる者かどうかを確認するため、実施者に対し実施結果、申出書、別記様式第1号及び必要と認める書類を提出しなければならない。
3 実施者は面接指導の対象者の選定を速やかに行い、町へ報告しなければならない。
(面接指導の実施方法)
第14条 面接指導を実施する実施者は、面接指導において次の各号に掲げる事項について確認する。
(1) 当該職員の勤務の状況(職場における当該職員の心理的な負担の原因及び職場における他の職員による当該職員への支援の状況を含む)
(2) 当該職員の心理的な負担の状況
(3) 前項のほか、当該職員の心身の状況
2 町は、実施者に対し当該職員の実施結果、申出書、別記様式第1号及び面接に必要と認める書類及び情報を提供する。
(面接指導の申出の勧奨)
第15条 高ストレス者として選定され、面接指導を受ける必要があると実施者が認めた職員のうち、面接指導の申出を行わない職員に対して、実施者が申出の勧奨を行うことができる。
(ストレスチェック結果の記録・保存)
第16条 実施事務従事者は、実施者が行った実施結果の全てを次の各号に掲げるところにより、5年間保管しなければならない。
(1) 紙媒体記録は、施錠可能なキャビネットに保管し、第三者に閲覧されることがないよう実施事務従事者が厳重に管理する。
(2) 電磁的記録は、第三者がアクセスができないネットワークサーバー内担当係領域で保管する。
(実施者からの意見の聴取)
第17条 町は、面接指導実施後遅滞なく、次の各号に掲げる事項について実施者から意見を聴取する。
(1) 就業に関する制限の有無と就業に関する必要措置の内容
(2) 職場環境の改善に関する意見
2 意見聴取する内容は別表第2を参考とし、面談実施前に意見聴取の内容を実施者に伝え連携に努める。
(就業上の措置の決定及び実施)
第18条 町が職員に対して面接指導の結果に基づく就業上の措置を決定する場合には、あらかじめ当該職員の意見を聴き、話し合いを通じて職員の了解が得られるように努める。ただし、職員に対して不利益な取扱いをしてはならない。
2 職員の意見を聴くにあたっては、必要に応じて実施者等の同席を求めることができる。
3 町は、就業上の措置を実施し、又は当該措置の変更、若しくは解除をしようとするにあたっては、実施者等と当該管理監督者及び人事労務管理部門の連携にも十分留意する。
4 町は、就業上の措置の実施にあたっては、当該職員のプライバシーに配慮しつつ、当該管理監督者に対し、就業上の措置の目的及び内容等について理解が得られるよう必要な説明を行う。
5 町は、就業上の措置を必要とする職員に対し、釧路町職員心の健康づくり計画並びに釧路町職員職場復帰支援制度マニュアルに基づく必要な措置を講じ、健康状態の回復に向けた支援を行う。
(面接指導結果の記録)
第19条 町は、面接指導の結果に基づき、次の各号に掲げる事項を記載した記録を作成し、これを5年間保存しなければならない。
(1) 面接指導の実施年月日
(2) 当該職員員の氏名
(3) 面接指導を行った医師の氏名
(4) 当該職員の勤務の状況
(5) 当該職員の心理的な負担の状況
(6) その他の当該職員の心身の状況
(7) 当該職員の健康を保持するために必要な措置についての医師の意見
(部署ごとの集計・分析の実施)
第20条 町は、実施者に対してストレスチェック結果を一定規模の部署ごとに集計・分析させ、その結果を勘案し、必要に応じて、当該部署の職員の実情を考慮して、当該部署の職員の心理的な負担を軽減するための適切な措置を講じるよう努める。
2 部署ごとの集計・分析の結果は、衛生委員会等における職場環境の改善方法の検討等に活用するように努める。
3 部署ごとの集計・分析を行った場合には、その結果に基づき、記録を作成し、これを5年間保存する。
(集計・分析結果による職場環境改善)
第21条 町は、実施結果の部署ごとの集計・分析結果に基づき適切な措置を講ずる場合には、実施者または実施者と連携したその他の医師等から、措置に関する意見を聴き、または助言を受けるように努める。
2 町が措置の内容を検討するにあたっては、実施結果を部署ごとに集計・分析した結果だけではなく、管理監督者による日常の職場管理で得られた情報、職員からの意見聴取で得られた情報等も勘案して職場環境を評価するとともに、勤務形態または職場組織の見直し等の様々な観点から職場環境を改善するための必要な措置を講ずるように努める。
(不利益な取扱いの防止)
第22条 町が、ストレスチェック及び面接指導において把握した職員の健康情報等に基づき、当該職員の健康の確保に必要な範囲を超えて、当該職員に対して次の各号に掲げる不利益な取扱いをしてはならない。
(1) ストレスチェックを受けない職員や実施結果を町に提供することに同意しない職員に対して、これを理由とした不利益な取扱い
(2) 実施結果のみを理由とした不利益な取扱い
(3) 面接指導を申し出た職員や面接指導の要件を満たしているにもかかわらず、面接指導の申出を行わない職員に対して、これを理由とした不利益な取扱い
(4) 措置の実施にあたり、医師による面接指導を行うこと、または面接指導結果に基づく必要な措置について医師の意見を聴取すること等の法令上求められる手順によらない不利益な取扱い
(5) 面接指導結果に基づく措置の実施にあたり、医師の意見とはその内容・程度が著しく異なる等医師の意見を勘案し必要と認められる範囲内となっていないもの、または職員の実情が考慮されていないもの等の法令上求められる要件を満たさない内容の不利益な取扱い
(6) 面接指導の結果を理由として、解雇、有期雇用契約者の契約更新拒否、退職勧奨を行うこと、不当な動機・目的をもってなされたと判断されるような配置転換または職位(役職)の変更を命じること、その他労働関係法令に違反する措置を講じるなどの不利益な取扱い
(実施事務従事者の範囲と留意事項)
第23条 ストレスチェックを受ける職員について解雇、昇進または異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、ストレスチェックの実施の事務に従事してはならない。
(1) ストレスチェックの実施事務従事者には法第104条の規定に基づき秘密の保持義務が課されること。
(2) ストレスチェックの実施の事務は実施者の指示により行うものであり、実施の事務に関与していない所属部署の上司等の指示を受けてストレスチェックの実施の事務に従事することによって知り得た従業員の秘密を漏らしたりしてはならないこと。
(3) ストレスチェックの実施の事務に従事したことによって知り得た職員の秘密を、自らの所属部署の業務等のうちストレスチェックの実施の事務とは関係しない業務に利用してはならないこと。
(ストレスチェック結果提供の留意事項)
第24条 実施者から町に対して実施結果を提供する場合には、当該職員の同意を必要とする。
2 実施結果が当該職員に知らされていない時点で、町は職員の同意書を取得してはならない。ただし、本人の意思により事前に同意書の提出があった場合はこの限りではない。
3 同意書の提出に際し、職員に対して同意を強要する行為または強要しているとみなされるような行為を行ってはならない。
4 町への実施結果の提供について職員の同意が得られた場合には、実施者は、町に対して当該職員に通知する情報と同じ範囲内の情報についてストレスチェック結果を提供することができる。
5 町は、本人の同意により提供された実施結果を、当該職員の健康確保のための就業上の措置に必要な範囲を超えて、当該職員の上司または同僚等に共有してはならない。
(部署ごとの集計・分析の留意事項)
第25条 部署ごとの集計・分析を実施した実施者は、部署ごとの集計・分析の結果を町に提供する際、集計・分析の単位が少人数である場合には、当該部署の個々の職員が特定され、当該職員個人の実施結果を把握することが可能となるおそれがあることから、集計・分析の単位が10人を下回る場合には、集計・分析の対象となる全ての職員の同意を取得しない限り、結果を提供してはならない。ただし、個々の職員が特定されるおそれのない方法で集計・分析を実施した場合は、この限りでない。
2 部署ごとの集計・分析の結果は、無制限にこれを共有した場合には当該管理監督者等に不利益が生じるおそれもあることから、町は当該結果を制限なく共有してはならない。
(面接指導結果提供の留意事項)
第26条 実施者は、面接指導結果に関する情報を町に提供するにあたっては、当該職員の健康を確保するための就業上の措置を実施するため必要な情報に限定して提供しなければならない。
2 実施者以外の外部の医師が面接指導を実施した場合、当該医師は、当該職員の健康を確保するために必要な範囲で、当該職員の同意を取得した上で、実施者に対して面接に関する全ての情報又は詳細な医学的情報を提供することができる。
附 則
この訓令は、公布の日から施行し、平成28年9月1日より適用する。
別表第1(第5条関係)
職員本人 | 産業医 | 実施事務従事者 | 管理監督者 (部長・課長等) | ||
検査の有無 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
ストレスチェック受検結果 | 同意なし | ○ | ○ | ○ | × |
同意あり | ○ | ○ | ○ | ▲ | |
面接指導申出者 | ○ | ○ | ○ | ▲ | |
面接指導結果 | 詳細な内容 | ○ | ○ | ▲ | × |
就業に関する意見 | ○ | ○ | ○ | ▲ | |
集団分析の集計・結果 | ※ | ○ | ○ | ※ |
記号の説明:○は把握・取得可能、▲は就業上の措置実施等に必要な範囲・内容に限って把握・取得可能、×は把握・取得不可能、※は協議等により把握・取得可か決定
別表第2(第17条関係)
区分 | 内容 | 就業上の措置の内容 | |
就業区分 | 通常勤務 | 通常勤務でよい | 特になし |
就業制限 | 勤務に制限を加える必要のあるもの | ・専門機関受診の必要性の有無 ・メンタルの不調を未然に防止ことを目的とした就業時間の短縮、出張の制限、時間外勤務の制限等の措置 | |
要休養 | 勤務を休む必要のあるもの | ・専門機関受診の必要性の有無 ・療養を目的とした、休暇または休職等により一定期間の勤務をさせない措置 | |
職場環境区分 | 職場環境 | 職場環境の改善の必要がある | ・業務分担の見直し、時間外勤務時間の縮減、休暇を取得しやすい環境づくり等の措置 |
人間関係 | 人間関係の修復等の必要がある | ・上司との関係修復のための、支援・指導 ・部下との関係修復のための、支援・指導 ・係内の人間関係修復のための、支援・指導 ・その他の人間関係修復のための、支援・指導 |